第117章 言いたいことがある

言い終えるや否や、有岡里穂の瞳孔がきゅっと縮んだ。信じられない、という顔で食い下がる。

「……毒にやられたって、今言った?」

里穂の脳裏に真っ先に浮かんだのは、阿部明人が話を逸らしに来た、という疑いだった。

阿部蓮太郎の中毒はすでに阿部爺さんの耳にも入っている。チャリティーパーティの夜、彼女は情報を洗い、毒を盛める可能性が高いのは阿部明人だと当たりをつけたばかりだ。

二度目に会ったとき、彼は自分が医者だと知った。――そして三度目で「自分が中毒だ」と言い出す?

「阿部明人。私は医者だって言ったはず。嘘はやめて」

里穂は険しい表情のまま、漆黒の瞳に彼の、笑っているようで笑っていない顔...

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